昨今のシャンパンブームに思う事
2007.12.19
今シャンパンが世界的に空前の大ブームを迎えているようです。
2007年の世界のシャンパン販売量は、ミレニアム景気に沸いた1999年の3億2700万本を超えて過去最高記録を更新する見通しです。 ワイン愛好家の多い日本での販売量も好調で、2007年度上半期の輸入量は英国、米国に次ぐ世界第3位となっています。
歓迎すべきは、数年前に比べてシャンパンの選択肢が圧倒的に増えたことです。
一昔前は、どこの飲食店に行ってもシャンパンだけは同じようなラインナップしかなかったような気がします。
ところが今は、流行のRM (レコルタン・マニュピュラン自家栽培・醸造家) のような小さな生産者のシャンパンも多く紹介されるようになり、レストランとしてもシャンパンのセレクションによって他店との差別化を図る事が重要になっていますし、飲み手としてもそれら個性豊かなシャンパン達を飲むことは非常に楽しいことだと思います。
しかし、物事には常に懸念材料が付きまとうもの・・・・。
シャンパンに関しては、まずその価格の高騰が挙げられます。
例をとって見てみましょう。 プロヴィナージュがオープンした2006年7月。その時グラスシャンパンに使っていたアイテムの納品価格は3,500円でした。
それがこの1年数ヶ月の間に3,800円、3,950円と値上がりし、年明けの1月からはなんと4,550円になる予定です。30%の値上げ率です!
値上げの度にインポーターからは「ユーロの高騰で・・・・」的なお達しが来るのですが、為替相場はその間1割程しか上がっていません。
要するにどういうことかと言いますと、シャンパンは世界的な需要に後押しされて完全な売り手市場になっているという事です。
ビジネスライクに考えれば 「4,000円でも5,000円でも飛ぶように売れるものを3,000円で売るバカはいない」 というのは至極ごもっともだとは思いますが、造り手の関心事が 「金 > 情熱」 に移行している様に感じます。
これまで皆さんにグラスワインで楽しんで頂いていたものが出せなくなるのは非常に残念ですので、今までの値上げ分は何とかお店側で吸収しようとやってきましたが、「いい加減、もう付き合ってられ無いなぁ」という嫌悪感すら覚えます。
シャンパンに関する懸念材料は価格の高騰だけに留まりません。
供給を上回る需要は品質にまで影響を及ぼしかねません。
今年の10月、シャンパーニュの規制を統括しているシャンパーニュ委員会(CIVC)は、世界的な需要増に対応するため、ブドウの規定収量を2割程緩和しました。
通常のワイン産地では、生産されるワインの品質を維持するために1ヘクタールあたりのブドウの収量を規制しています。
過度な収量は味わいの凝縮感に乏しいブドウを生むことが常識となっているからです。
今回の規制緩和に伴いシャンパーニュ委員会が出した声明は、「過去の実験により、高収量でもシャンパンの品質が損なわれないことが証明されており・・・・」というものですが、思わず 「では、元々決めていた収量規定は何の為?」 とツッコミを入れたくなります。
又、フランスのAOC(原産地統制呼称制度)を管轄しているINAOは、シャンパンを名乗れる生産地域の拡大を検討しているとのことですが、その昔シャブリが世界的な脚光を浴びた時に、生産地を拡大するために明らかにポテンシャルの低い土地にまでプティ・シャブリというAOCを与えた、というような愚行を繰り返さなければ良いのですが・・・。
日頃の営業でシャンパンを扱っていて、この一連の影響を感じることがあります。
グラスシャンパンに使うような各生産者のスタンダードシャンパンの中で著しく泡の粗いものをたまに見かけます。
二酸化炭素がまだ液体に充分なじむ前に、需要に応えるべく、リリースのタイミングを前倒ししているのではないかと思われます。
私の中では、ピノノワールの聖地がブルゴーニュであることに誰も異論を唱える者がいないのと同じ様に、スパークリングワインの聖地はやはりこのシャンパーニュだと思っています。
一時期のブームに踊らされて、その地位から失墜することのない様、切に願って止みません。
これからもシャンパーニュを取り巻く事柄の動向、目が離せません。
それでは、又。
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